2012年5月13日日曜日

フィナステリドfinasterideのWADAcodeからの削除について

フィナステリドは、メルク社が開発した抗アンドロゲン薬の一つです。5alpha還元酵素を阻害することにより、テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換するのを阻害します。本邦では、男性型脱毛症に対してプロペシアという商品名で販売されています。現在ではドーピング対象薬ではないようですが、かつては服用がドーピングにあたりました。2009年、ドーピングリストからはずれたようです。

以下はWikipediaのフィナステリドの項からの抜粋です。



”フィナステリドは、体内で男性ホルモンに影響し筋肉増強剤の使用を隠す効果があるため、世界アンチ・ドーピング機関などでドーピング剤として認定されていたが、2009年1月1日より世界アンチ・ドーピング機関は禁止リストより除外しており現在ではドーピングに当たらないとの判断がなされている[5]。
2007年3月13日、オーストラリア元代表のサッカーDF選手スタン・ラザリディスがドーピング検査で陽性反応を示したと所属サッカークラブパース・グローリーが発表した。報道では、彼が利用していた発毛薬で使われるフィナステリドに反応したと報じた。米国スケルトン男子のザック・ランドがフィナステリドが原因でトリノ五輪出場を逃した。
日本では、2007年8月10日にソフトバンク所属のリック・ガトームソン投手がドーピング検査でフィナステリドに対し陽性反応を示し20日間の出場停止処分が下された。
2009年1月1日、分析技術の進歩によりフィナステリドを使用しても禁止物質の使用を判別することが可能となったため、世界アンチ・ドーピング機関は禁止リストから除外した。”


以下に、WADAが発表している、フィナステリドのリストから外れた理由についての記載(http://www.wada-ama.org/Documents/News_Center/News/QA_Finasteride.pdf)の一部の和訳を記します。


なぜ、いつ、フィナステリドはリストに含まれていたのか?

・フィナステリドは、毛髪の減少を抑制する物質である。2005年に大会外・大会中の両方で禁止されるものとしてリスト入りした。なぜなら、この物質がドーピングコントロールにおいて、ステロイド使用をマスクしてしまうことが研究により示されたからだ。アスリートから使用したい旨があり、かつ、リーズナブルな代替治療がない場合、フィナステリドはTUEの許可のもと使用可能であり、実際に多くのアスリートがTUEを取得した。

・当時、ドーピングコントロールの分析においてフィナステリドや他の5alpha還元酵素阻害剤のステロイドに対するマスキング作用を検出することはできなかった。結果として、WADAは、いくつかのドーピング物質をマスクしてしまう可能性があるので、フィナステリドをリストに追加した。


なぜフィナステリドは2009年のリストからはずれたのか?

・alpha還元酵素阻害剤によるステロイドへのマスキング作用は存在している。しかしながら、アンチ・ドーピング科学やアンチ・ドーピング検出研究所の最近の進歩で、ステロイドプロファイルを検討することにより、5alpha還元酵素阻害剤によってステロイド投与を隠蔽することは意味をなさなくなった。結果として、WADAは2009年1月のリストから、このクラスの薬剤を入れる必要がなくなった。

・状態変化を検出することが有効であるということが、最近の研究やアンチ・ドーピング科学の進歩の結論である。特に、athlete passportという考え方がWADAで開発されてきて、現在ではすべてのWADA認定ラボは、ドーピングコントロールの過程で尿中ステロイドプロファイルを迅速にシステマティックに考慮することができる。これにより、5alpha還元酵素阻害剤のステロイド投与に対する隠蔽作用を検出できるようになった。
*WADAによるathlete passportの目的は、ドーピングの可能性があるような異常な変動を検出するために、アスリートの生体パラメーターを継続的に管理することにある。

・WADAは、アスリートがTUEを取得するのを無視したり5alpha還元酵素阻害剤を摂取する許可を得たりするのは心地よいものではないものを理解しているが、ドーピングリストが当時の科学に基づいているということと、アンチ・ドーピング科学が健全な世界中のアスリートの利益のために急速に進歩していることを心に留めて欲しい。


以上、和訳。要は、昔はフィナステリドによるステロイド摂取の隠蔽作用が厄介だったので禁止していたが、athlete passportを使うとフィナステリドを投与していようとドーピングを見抜けるようになったので、フィナステリドは使っても良いよ~、ということでしょう。

athlete biologcal passportというものがでてきました。http://www.wada-ama.org/en/Science-Medicine/Athlete-Biological-Passport/をみると、どうやら2009年12月から承認されているようです。WADAのホームページでは、athlete biological passportは、ABPと略されています。
詳細は、http://www.wada-ama.org/Documents/Science_Medicine/Athlete_Biological_Passport/WADA-ABP-Operating-Guidelines_v3.1-EN.pdfよりダウンロードできます。

ABPは、大会のみではなく、定期的に選手のステロイド量を知っておくことによって、変な変動があったときにはドーピングしたとみなすことができるという考え方です。生体パスポートと訳されたりもします。今後はABPがさらに浸透していくかと思いますが、これを行うには多額のお金が必要になりますので、そこらへんのバランスをどうするのかが課題かもしれません。

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