2012年5月20日日曜日

同化男性ホルモンの使用と心不全の頻度の関係

Long Term Anabolic-Androgenic Steroid Use is Associated with Left Ventricular 
Dysfunction
Circ Heart Fail. 2010 Jul;3(4):472-6. Epub 2010 Apr 27.
Baggish AL, Weiner RB, Kanayama G, Hudson JI, Picard MH, Hutter AM Jr, Pope HG Jr.
Division of Cardiology, Massachusetts General Hospital, and Department of Medicine, Harvard Medical School, Boston, Mass 02114, USA. 

PMID:
 20424234






題名:長期間の同化男性ホルモン(anabolic androgenic steroid, AAS)の使用は、左心室不全と関連する。



背景:不正なAASの使用が広がりをみせているが、長期間のAASの使用による心臓への
効果はよくわかっていない。我々は、AASを長期使用しているウエイトリフティングのアスリートと
そうではないが似たような特性のアスリートの心臓のパラメーターを比較した。

方法と結果:我々は、AASユーザー(12人)と非ユーザー(7人)の左室駆出率と局所収縮能、
拡張機能指標を評価するために、二次元組織ドプラー法とスペックルトラッキングエコーを
実施した。以下の数字は、平均、[1/4分位数、3/4分位数]を表している。AASユーザーは、
累積で平均468週[169週, 520週]の間AASを使用していた。この集団は、年齢、ウエイト
リフティングの競技経験期間、現在のウエイトトレーニングの強度において、有意差は
みられなかった。左室の構造パラメーターは、両群において有意差はなかった。しかし、
AASユーザーは、左室駆出率(50.6%[48.4%, 53.6%] vs59.1%[58.0%, 61.7%]、p=0.003)、
長軸方向のストレイン(16.9%[14.0%, 19.0%] vs 21.0%[20.2%, 22.9%]、p=0.004)、
短軸の中心から放射方向へのストレイン(38.3%[28.5%, 43.7%] vs 50.1%[44.3%, 61.8%]、
p=0.02)において、有意に悪化していた。AASユーザー12人のうち10人は左室駆出率が、
通常の>55%という値を下回っていた。AASユーザーは、early peak tissue velocity
(7.4 cm/s[6.8 cm/s, 7.9 cm/s] vs 9.9 cm/s[8.3 cm/s, 10.5 cm/s]、p=0.005)と
early-to-late拡張期充填率(0.93[6.8, 7.9] vs 1.80[1.48, 2.00]、p=0.003)で悪化していることより、
非ユーザーに比べて拡張能も悪化してることが明らかとなった。

結論:長期にAASを使用している人の心機能障害は、これまでに報告されてきてるよりも
厳しいものであり、心不全のリスクを上昇させるのに充分かもしれない。



(感想)

AASを使用すると心臓に良くないとは聞きますが、ではどれくらい?というお話です。先日までは
精神系に対する影響をみましたが、今回は心臓。人数としては少ない試験ですが、いろいろな
検査をしていて、貴重なデータだと思います。

母集団のざっくりとした特性は、年齢が約40歳、BMIが約30、体表面積が約2.1と、
中年大柄な感じです。いずれも、両群間で有意差なしです。

特に馴染みのある左室駆出率(LVEF)をみると、びっくりします。生データを見るとさらに驚きます。
縦軸がLVEF、横がAASユーザーor非ユーザーの群で、各被験者のデータをそのままプロットしたものです。

1/4分位点や3/4分位点をだしてきた理由がわかります。平均の値でうける印象よりもずっと
AASユーザーで悪化している感じを受けます。明らかに約40歳の集団とは思えない状態だと
思います。

全体として精神系よりもはっきりと、副作用がみえてるなぁという印象でした。おそらく検査値が
明瞭に数字化されているためかと。

AASの種類などで分けることができないくらいの人数なのが、残念な点です。しかし、AASが心臓に
悪いというのが明瞭なデータですので、是非一般のAASユーザーに見てもらいたいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿