2012年5月12日土曜日

尿の検査から輸血歴をあばく!

Plasticizers excreted in urine: indication of autologous blood transfusion in sports.
Transfusion. 2012;52(3):647-57. 
Monfort N, Ventura R, Platen P, Hinrichs T, Brixius K, Schänzer W, Thevis M, Geyer H, Segura J.
Bioanalysis Research Group, IMIM Hospital del Mar Research Institute, the Universitat Pompeu Fabra, Barcelona, Spain.
PMID: 21895677

題名:尿中に分泌される可塑剤:スポーツにおける自己血輸血の兆候

背景:スポーツにおける自己血輸血の誤使用は、検出することができないでいる。最近、可塑剤であるdi-(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)の代謝物が、血液輸血のマーカーとして提案された。これは、血液輸血された患者でこれらの代謝物が高濃度で尿中に検出されたことに基づいている。本研究では、自己血輸血を検出することを目的として尿中のDEHP代謝物を評価した。

研究計画と方法:血液バッグを一袋分、被験者から採血した。その赤血球は異なった貯蔵期間後に自己血輸血を行った。グループ1(12人)は14日間、グループ2(13人)は、28日間の貯蔵をした。DEHPの代謝産物であるmono-(2ethylhexyl)ohthalate, mono-(2-ethyl-5-hydroxyhexyl)phthalate, mono-(2-ethyl-5-oxohexyl)phthalateの濃度を決定するために、尿サンプルは自己血輸血前と後で収集した。

結果:自己血輸血前のDEHP代謝物の濃度は、一般的な環境曝露のレベルであった。すべての被験者において、自己血輸血数時間後からすべての代謝産物において有意な増加が見られた。一日後でもまだ自己血輸血後から比較して有意に(p<0.05)高値を示した。尿の希釈度に関して、比重により標準化した。DEHP代謝産物の濃度は、赤血球の貯蔵時間が長いほうが高値を示す傾向にあった。

結論:プラスチックバッグに保存された赤血球の自己血輸血は、DEHP代謝産物の尿中濃度の急激な増加をもたらす。これによりドーピング違反を検出することができる。検出可能な期間は、おおむね2日である。本法は、尿サンプルのアンチ・ドーピング試験に適用されるようになるかもしれない。




(感想)

自己血輸血を尿サンプルから検出するという、ユニークな方法についての論文です。

なるほど、プラスチックバッグの成分の代謝産物を検出出来れば、確かに輸血されたということはわかるかもしれないですね。

論文の中身を見ていないので、この代謝産物がどの程度検出できるのか(明らかに上昇するものなのか、微妙な上昇なのか)などによって、実際に運用されるのかも変わるかもしれませんが、この方法は自己血輸血のドーピング試験に対する大きな方向性になっていくかもしれません。大人数での代謝産物の基礎値のデータなどを集めるのが、今後の課題というところでしょうか。どの程度のvariationがあるのか、非常に気になります。

数日内で自己血輸血をしたのかどうかを尿検査からわかってしまう、凄い時代になりました。

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