2012年8月7日火曜日

ベータ2アゴニストの尿中排泄量とWADAコードでの閾値の関係

Formoterol concentrations in blood and urine: The WADA 2012 regulations.
Eibye K, Elers J, Pedersen L, Henninge J, Hemmersbach P, Dalhoff K, Backer V.
Med. Sci. Sports Exerc. 2012;45;16-22.
PMID:22843108

題名:血中および尿中のホルモテロール濃度:2012WADA規約との関連

目的
我々は、健常者および喘息患者における18microgramの吸入ホルモテロールの単回投与後の尿中・血中ホルモテロール濃度と、健常者における反復投与後の尿中・血中ホルモテロール濃度を検討した。結果は、WADA2012に記載されているホルモテロールの閾値との比較で評価した。

方法
オープンラベルのクロスオーバー試験にて行った。習慣的にbeta2アゴニストを使用している10人の喘息患者と、beta2アゴニストを使用したことがない10人の健常者に18 microgramのホルモテロールを単回投与した。さらに、10人の健常者で、18 microgramのホルモテロール吸入をトータル72 microgramになるまで二時間おきに投与した(この投与量は、WADA2012で規定されている最大投与量の2倍である)。血液サンプルは、ベースライン・投与後30分, 1, 2, 3, 4, 6時間に採取された。尿サンプルは、ベースライン・0-4時間・4-8時間・8-12時間と4時間の蓄尿として採取した。

結果
比重で補正したホルモテロールの尿中濃度の中央値は、単回投与の場合0-4時間でピークで、喘息患者で7.4 ng/mL、健常者で7.9 ng/mLであった。72 microgramになるまで二時間おきに18 microgramづつ投与をした反復投与の場合は、4-8時間でピークとなり、健常者では16.8 microgram/mLが最大値であった。トータル72 microgramのホルモテロール吸入を投与したあとの最大濃度は25.6microgram/mLであった。

結論
ホルモテロール吸入後の尿中・血中濃度に関して、喘息患者と健常者では有意な差はみられなかった。どちらのグループにおいても、非常に大きな個人差がみられた。我々のデータは、WADA2012で規定されている30 ng/mLというホルモテロールの尿中濃度の閾値が妥当であることを支持している。




(感想)

ホルモテロール吸入の商品名は、シムビコートです。通常は単回で18 microgramも使用しない薬です。また、一日72 microgramも使用しない量です。しかし、多めに投与をした時の尿中・血中濃度を測定することにより、WADA2012の規約の閾値が妥当であるかどうかをさぐったということです。

喘息患者と健常者では、経肺で差が出てもいいのかなぁと思いましたが、今回は有意差なし。群間よりもむしろ群内での差が大きいとのことです。まぁ10人のグループだし、そんなもんでしょう。この結果によって、両群の経肺でPKが変わらないとはいえません。通常時の最大量の倍量投与ですら、WADA2012の閾値を超えないということなので、閾値超えしている場合は相当量使用しているか、使用の際に手などに薬剤が付着し、それがドーピング検査の尿試料にコンタミしたなどの状況が考えられます。感覚としては、閾値ってそんなにがっちりきっちりとしているものではなくて、比較的ゆるく設定しているんだなぁと感じました。

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