2013年10月18日金曜日

栄養サプリメントでドーピング!?成分表を信じていいの?

アスリートは、しばしばサプリメントを用いることがあります。もちろん成分表がついていますので、自分でドーピング禁止薬が入っていないか、もしくはスポーツファーマシストなどの専門家が成分表から安全かどうかを判断することは可能です。ただし、その成分表に嘘がなければ・・・。

サプリメントの成分表に嘘があれば、成分表上では禁止薬物が入っていなくても、実は禁止薬物が混入していて、ドーピングになってしまう!なんてことも十分ありえます。

栄養サプリメントの成分表の信ぴょう性を確かめた論文たちの一部をまとめました。他にもたくさん類似の報告はあります。

成分表に未表示で、意図しないドーピングであったと主張したところで、ドーピング違反を免れることはありません。サプリメント選びは慎重に・・・。

それぞれの論文を要約しています。



Nutritional suppelments as a source for positive doping cases?
M. Kmber, N. Baume, M. Saugy, L. Rivier
Int. J. Sport Nutr. Exerc. Metab. 2001; 11: 258-263.
PMID: 11402257

題名: ドーピング陽性のケースにおいて栄養サプリメントは原因になっているのか?

・スイスからの報告。
75種類の栄養サプリメントをインターネットから購入し検査したところ、7つにホルモン物質が、2つにエフェドリンとカフェインが入っており、いずれも成分表には記載なし。

Nutritional supplements cross-contaminated and faked with doping substances
H. Geyer, M.K. Parr, K. Koehler, U. Mareck, W. Schanzer, M. Thevis
J. Mass. Spectrom. 2008; 43: 892-902.
PMID: 18563865

題名:ドーピング物質が混入している栄養サプリメント

・ドイツからの報告。
・これまでにエフェドリン、カフェイン、メチレンジオキシメタンフェタミン、シブトラミンなどのドーピング禁止物質が、成分表未表示でサプリメントに入っていた事例が報告されている。
2001-2002年に13ヶ国で購入した634の栄養サプリメントを検討したところ、ホルモンがはいっていないと成分表で表示されている栄養サプリメントの15%において同化男性ステロイドが入っていたことが報告されている。
2002年以来、メタンジエノン、スタノゾロール、ボルデノン、デヒドロクロロメチルテストステロン、オキサンドロロンなどの古典的な同化男性ステロイドが意図的に混入されている(成分表に記載のない)栄養サプリメントが、見つかってきている。
・これらの同化男性ステロイドのおおもとは、おそらく中国の製薬会社である。
2005年、ビタミンC、マルチビタミン、マグネシウムのサプリメントにスタノゾロールとメタンジエノンが混入してることが報告された。
・2002年以降は、新しい"デザイナー"ステロイド(例えば、プロスタノゾール、メサステロン、アンドロスタトリエンジオンなど)が栄養サプリメント市場に出回っている。
・最近は、体重減少を目的とした栄養サプリメントに、クレンブテロールが混入しているものも見受けられる。

Nutrition supplements: prevalence of use and contamination with doping agents
W. Van Thuyne, P. Van Eenoo, F.T. Delbeke
Nutr. Res. Rev. 2006; 19: 147-158.
PMID: 19079882

題名:栄養サプリメント: ドーピング物質の使用と混入と頻度解析

成分表上ステロイドが入っていないはずの栄養サプリメントの多くに、同化男性ステロイドが混入している。
・人工的なエフェドリン誘導体が入っているサプリメントもある。
*本論文中には多くのドーピング薬混入に関する報告の記載がある。興味が有る方はご一読を。

Research of stimulants and anabolic steroids in dietary supplements
N. Baume, N. Mahler, M. Kamber, P. Mangin, M. Saugy
Scand. J. Med. Sci. Sports 2006; 16: 41-48.
PMID: 16430680

題名:栄養サプリメントにおける刺激物質や同化男性ステロイドの研究

・スイスからの報告。
・インターネットで購入した103のサプリメントの組成を解析した研究。
3つの商品に、同化男性ステロイドであるメタンジエノンが非常に高い濃度で含まれていた。
この商品を摂取したところ、尿中にメタンジエノンの代謝物が検出され、ドーピングテスト陽性と判断されると考えられる。
クレアチンのサプリメントや"mental enhancers(精神的に前向きにするようなサプリメント)"にも、成分表に表示なく同化男性ステロイドやプロホルモンが混入していた。14個のプロホルモンサプリメントには、成分表に未表示の成分が複数混入していた。
クレアチンサプリメントを摂取したところ、尿中に同化男性ステロイドであるナンドロロンの代謝産物である19-ノルアンドロステロンと19-ノルエチオコラノロンが検出された。

Unintentional doping through the use of contaminated nutritional supplements
P.J. van der Merwe, E. Grobbelaar
S. Afr. Med. J. 2005; 95: 510-511
PMID: 16156450

題名:ドーピング物質が混入した栄養サプリメントを摂取することによる意図しないドーピング

・南アフリカ共和国からの報告。
薬局で購入できるOTCの栄養サプリメントのスクリーニングで、19-ノル-4-アンドロステンジオンと4-アンドロステン-3,17-ジオンが微量に混入しているものがあった。
・それを5人の健常男性が摂取した時に尿検査で、ドーピング陽性となるのかを、GC/MSによって19-ノル-4-アンドロステンジオンの主要な代謝産物である19-ノルアンドロステロンを検出し、検討。
摂取後2時間において、すべての尿サンプルで19-ノルアンドロステロンをWADA規定の閾値である2 ng/ml以上の濃度で検出した。
・2人の尿サンプルでは、36時間後の尿サンプルの検査においても19-ノルアンドロステロンは閾値を超えていた。
19-ノルアンドロステロンの尿中最大濃度は、摂取後8時間で、54.6 ng/ml (閾値の約27倍)であった。

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