2013年10月29日火曜日

アスリートでは副作用がでやすい?スタチンの意外な側面

どんなアスリートも、人ですので、いろいろな病気にかかります。脂質異常症で良く使われるスタチンは横紋筋融解症などの骨格筋への副作用が知られていますが、アスリートでの忍容性はどうなのでしょうか。

Professional athletes suffering from familial hypercholesterolaemia rarely tolerate statin treatment because of muscular problems.
H. Sinzinger, J. O'Grady
Br. J. Clin. Pharmacol. 2004; 57: 525-528.
PMID: 15025753

題名:家族性高コレステロール血症のプロアスリートでは、筋肉に関する副作用のためにスタチン治療に対して忍容性が低い

以下、抄録の要約。

筋肉関係の副作用は、スタチンによる副作用の主なものの一つであり、運動中や運動後に起こりやすいことが知られている。
・最近8年間に22人の家族性高コレステロール血症のプロアスリートを観察しており、それぞれ異なったスタチンで治療しようとした。
22人のうち、6人がスタチン治療を継続できた。
スタチン治療を継続できた6人のうち3人は、最初に処方したスタチンで副作用がなく治療継続できた。(ブログ著者注:残りの3人は、副作用があるものの治療継続できたと思われる。)
・スタチンとしては、アトルバスタチン・フルバスタチン・ロスバスタチン・プラバスタチン・シンバスタチンを使用した。
プロアスリートのようなトップスポーツ選手では、スタチン治療を副作用なく受け入れることが出来るのはおおむね20%程度であると考えられる(上述の22人中3人を基に)。




(感想)

家族性高コレステロール血症は、遺伝性の病気であり、生まれながらにして高コレステロールです。つまり、大人になってから高脂血症になったという原発性の病気とは異なります。主な病態としては、高コレステロール血症の持続による動脈硬化の異常な進展が挙げられます。

「家族性高コレステロール血症「ホモ接合体」と診断されたら、すぐに食事療法(低脂肪・低コレステロール食)を行い、出来るだけ早 期にLDLアフェレーシス療法と呼ばれる治療を始めます。これは、器械装置を使って血液からLDLコレステロールを直接除去する方法で、腎不全の患者さん に行う人工透析装置に似た器械を用います。1~2週間に1回の頻度で、一生、続ける必要があります。ベッド上で治療の時間中、安静にできるようになる4 歳~5歳には、治療を始めるべきです。治療の開始が遅れれば遅れるほど動脈硬化は進行してしまいますので、診断、治療を速やかに行なう必要があります。ま た、生涯を通じて、喫煙や高血圧、糖尿病、肥満などの動脈硬化を進行させる危険因子の管理をしっかりと行う必要があります。LDLアフェレーシス療法を行 ないながら、LDLコレステロール値を低下させるお薬も必要です。コレステロールの合成を阻害するスタチンと、コレステロールの吸収を阻害するエゼチミブ は、LDLアフェレーシス治療と治療の間のLDLコレステロール値を低下させることができると言われています。」
難病情報センターより抜粋、http://www.nanbyou.or.jp/entry/65


治療法としては、LDLアフェレーシス(LDLを血液から直接除去する方法)がメインで、食事療法やスタチンなどの薬物療法を併用します。

そのうち、スタチンと呼ばれる薬物グループは、副作用として横紋筋融解症を発症することがあります。実際にそこまでひどくなくても筋肉組織にダメージがいくことはあるように思います。

この筋肉への副作用は、スポーツなどの運動により、さらに起こりやすくなるようです。

今回の報告では、家族性高コレステロール血症のプロアスリートへのスタチンの使用経験ということで、20%の患者でしかスタチン治療を副作用なく継続することができなかったという衝撃の結果です。通常、筋肉関係の副作用はもっとずっとずっと低い頻度ですので、プロアスリートのような激しい運動を伴う生活をすることにより、スタチンの副作用リスクはかなり高くなるみたいです。

次にどの薬にするのか、違うスタチンにするのか(スタチンの中でも筋肉関係の副作用が起こりにくいとされるものもあるので)、センスが問われそうです。

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