2013年10月13日日曜日

FIFA U-17 ワールドカップ2011でのドーピング事件

Adverse analytical findings with clenbuterol among U-17 soccer players attributed to food contamination issues.
M. Thevis, L. Geyer, H. Geyer, S. Guddat, J. Dvorak, A. Butch, S.S. Sterk, W. Schanzer
Drug Test. Anal. 2013; 5: 372-376.
PMID: 23559541

題名:FIFA U-17 ワールドカップ大会におけるクレンブテロールの食べ物への汚染

これまでに、家畜への成長促進剤の使用が高い頻度で報告されてきている。違法的であるが畜産業にメリットが有る成長促進剤のうち、クレンブテロールは成分、薬理作用、代謝、排泄の点で特徴的であると考えられている。特に、家畜動物の食肉部位においてクレンブテロールが蓄積するために、エリート選手がそれを口にするという問題が起こっている。

2011年5月のメキシコ代表サッカーチームへの競技外検査においてクレンブテロールが5件、検出されたことを発端として、FIFAは2011年のFIFA U-17 ワールドカップの開催国であったメキシコでの食物汚染問題について検討を始めた。

同化作用物質の検出を目的に採取した208個のregular doping controlサンプルと、トーナメント中のチームが滞在したホテルで採取した47個の食肉食材サンプルについて、クレンブテロールの含有を検討した。47の食肉食材サンプルの内、14のサンプル(30%)において、クレンブテロールが0.06-11 microg/kgの濃度で検出された。208のregular doping controlサンプルの内109個のサンプル(52%)において、1-1556 pg/mlの濃度でクレンブテロールが検出された。
また、参加24チームのうち、クレンブテロールが検出されなかったのはたった5チームのみだった。そのうちの少なくとも1チームはメキシコのクレンブテロール汚染を知って、厳格にno meatな食事を実施していた。

ドーピング検査サンプルから異常な高頻度でクレンブテロールが検出されたことから、この検出されたクレンブテロールが食事由来のものであることが強く示唆され、どのサッカー選手も制裁されなかった。

しかし、エリート選手は、理由がどうあれ禁止薬剤に対して陽性反応が検出された時には厳しい結果が待っていることを知らなければならない。政府が、畜産業界における違法なクレンブテロールの使用に対して厳正なる対処をとる必要がある。



(感想)

このDrug Testing and analysisという雑誌は、どうやら若い雑誌のようですがドーピングに関して非常に強い役割をもっている雑誌です。Impact factorも急上昇しているようです。その理由の一つは、このように学問的ではないかもしれませんが社会的に重要な報告をしっかり掲載するという編集方針にあるのではないかと思いました。

さて、このメキシコU-17サッカーワールドカップのクレンブテロール事件は、ドーピング関係の方には非常に有名な話ですが、数字としてみたのは初めてでした。

我が国のチームもかなり神経ピリピリで、外食するときは1人ではせずにスタッフなどと同伴の上するように、などいろいろ気を遣っていると聞いています。

世界大会でこれほどまとまってクレンブテロール違反がでるというのは、なかなかなことだと思いますが、ここまででてしまっては逆に食材が悪かったという判断で全員許されてしまいました。もしもこれで制裁が行われれば、サッカー界が大変なことになっていたでしょう。将来のトップ選手たちにドーピング制裁するということですから・・・。

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