2013年11月6日水曜日

お酒を飲むと、男性ホルモン摂取を疑われる!?

ドーピングとして規制されている薬物の中には、生体内に存在しているものもあります。例えば、テストステロン。いわゆる男性ホルモンで、筋肉の増強作用によりドーピングとして禁止されていますが、生体内にも存在するホルモンです。ですので、検査の際には摂取したテストステロンなのか、もともと体の中にあった(内在性の)テストステロンなのかを判断する必要があります。そのひとつの指標が、T/E比です。Tはテストステロン、Eはエピテストステロンを表しています。つまり、T/E比とはテストステロンの尿中濃度をエピテストステロンの尿中濃度を割ったものです。この数値が一定以上であると、テストステロンを摂取したのではないか?と疑われます。実はこのT/E比、アルコールの摂取で値が上昇してしまう、というのが本報告です。

Effect of ethanol on the ratio between testosterone and epitestosterone in urine.
O. Falk, E. Palonek, I. Bjorkhem
Clin. Chem. 1988; 34: 1462-1464.
PMID: 3390919

以下、抄録の要約。

・エタノール摂取はT/E比を上昇させる。
4人の健常男性ボランティアにおいて、110-160g(2g/kg体重)の摂取で、尿T/E比が1.14 +/- 0.07から1.52 +/- 0.09へ上昇した。
尿T/E比の上昇率は、30-90%(平均41%)と幅があった。

(感想)

論文のデータを見てみると、エタノールによるT/E比の上昇は1g/kg体重のエタノール摂取ではほとんど見られなかったとのことです。

また、エタノールを2g/kg体重摂取した後のE/T比をタイムコースで見てみると、エタノール摂取後14時間で平均38%、エタノール摂取後22時間で平均41%上昇するそうです。

エタノール量で言いますと、2g/kg体重の摂取は60kgの人で120gに相当します。ビール量で換算するとビールのアルコール度数を5%として、2400ml程度ということでしょうか。結構な量ですが、そこまで飲むと比が変わるんですね。ありえない量ではありません。頭の片隅に入れておく必要があります。

さらに、アルコール自体がある種の競技ではドーピング規定で禁止されていることも注意です。

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